無粋な人にだけはなりたくないと思っていました。
いらない一言で場を白けさせたり、人のやる気を削いだりする手合いのあれですね。
不必要なアドバイス・決めつけからの上から目線などの嫌われ言動などなどで人の心をモヤっとさせるタイプに絡まれやすい私。
ああはなるまいとあれほど嫌悪していたはずなのに……先日ものすごくショックな現実を突き付けられることとなってしまった。
クレーンゲームに憧れているゆめこと一緒にゲームコーナーに行った時のことです。大好きなキャラクターが並べられた一台に目を奪われたゆめこ。当然やってみたいとねだられます。
しかしどうみても難易度の高い配置。実はわたくし、クレーンゲームや射的などの「景品を狙って落とす」系のゲームは割と得意でして、成功するか否かの判断には自信があります。
そのキャラクターに関しても、諸々の好条件が完璧に揃ったとしてその日のゲーム予算の1,000円で手に入れば奇跡。つまりほぼ無理。
しかしその日はゆめこの希望を叶えるために訪れているわけですから、チャレンジしないという選択肢はありません。とはいえなるだけ成功に近い体験をさせてあげたい。
千円札を勢いよくこまめて(これって全国共通語じゃないらしいですね)100円玉をぶっ込み、せめて少しでも取りやすそうな位置まで移動させてあげようとしたその時、傍からゆめこの怒号が響きます。
「私がやるって言ったでしょう!」
フォントも変わる勢いですよ。しかもすっごく怖い顔をしている。
私「でもこれ絶対取れないと思う。すごく難しいよ、最初だけママにやらせて」
ゆめこ「絶対に、私が、やります」
5才の操る敬語の迫力に気押されてプレイ権を譲り渡した私。難易度の高さにへそを曲げないといいな……なんてため息をつく私を尻目にゆめこは大胆な手つきでクレーンを動かしてゆきます。
案の定、トンチンカンな場所にアームを広げて下降して行くクレーン。
しかしここでとんでもないことが。
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手応えもへったくれもなく虚無を掴んだはずのクレーンの片腕が人形についていた紐の結び目の輪っか部分を捉え、アームを閉じる動作とともにしっかりと輪の奥まで滑り込んだ。
渋々といった表情で引きずり上げられて行く人形。瞬間、ゴトン!と鈍い音を立てて取り出し口からまろび出てきます。「ほらね」と言わんばかりの顔でそっくり返る娘に私はただ謝ることしかできなかった。
いやもう、何が恥ずかしいって自分の無粋さ加減ですよ。なんなの私?何様?
こうはなるまいと心に誓っていたはずの「我が子の可能性を信じずあらかじめレールを敷いて思い通りにことを進めようとした上にその判断が間違っていた親」っていう大技をパーフェクトに決めちゃったよ。
あなたのためだなんて偉そうなこと言いながら腕前でも負けてるし!なんて格好悪い……
人生経験を重ねると人は無意識のうちにここまで傲慢になるものなのかとひしひし思い知った私は
その人形を見るたびに己を戒めることを誓いました。
ゆめこの1番のお気に入りとなったその人形は想像以上の頻度で私の目に入るため
ここ一週間ほどはただただ己を戒めるばかりの日々を過ごしています。