12月のショッピングモールはトラップまみれのダンジョン。
軽快なクリスマスソングにイルミネーション、売り場のあちこちもキラキラしていて大人の私ですら心が浮き立ち、使いもしない限定コフレなんかに手を伸ばしてしまいそうになります。消費欲をあおるための企業努力の前には子どもなんてイチコロ。この雰囲気の中でなら親の気持ちも緩んでおねだりが通るかもしれないと思ってしまっても仕方がありません。


だから我が子の目におもちゃやらゲームセンターやらが飛び込んでくる前にさりげなくコートを広げて回り込み、好きな遊び歌を口ずさんでみたり抱っこをしたり、抱っこされながら周囲を見回す娘の頭の動きに合わせてクルクルと方向を変えてみたりと妙な動きをする羽目になる。周囲を見渡すと、何やら子どもに話しかけながら慌てて進行方向を変更している同士もちらほら目に入り、ああこれはファミリー層にはお馴染みの年の瀬の舞なんだなあと感慨深くなります。


 


予定外のおねだりをされてしまえばはっきりと「今日は買わないよ」って伝えればいいと思われるかもしれません。しかしそんなことは100も承知の上で正直に申します……
 

私、断るプロセスにすごくストレスを感じるんです。


予定のない贅沢や衝動買いを良しとしていないことは常日頃子どもたちにも伝えているので彼らもそこは理解している。だけどたまに雰囲気に流され「この要望が通ればラッキー」くらいの、いわゆるダメ元でとりあえずおねだりをしてくることがある。

その「ダメ元」が厄介。どうせ私は断るし、断られれば子どもたちもあっさり引き下がるんですが頼まれたことを断るのって疲れませんか?

あわよくばと期待しちゃっている相手に対して「無理ですよ」ってことを伝えるためにいちいち言葉を選び気を遣うの、しんどい。どんなに気を遣ったって断る以上少なからず相手を落胆させてしまうことは決まっているのです。


だから最初から言わせない

そのためにちょっと遠回りすることくらいなんてことありません。


蛇足ですが仕事でもたまにあるダメ元のご要望。

追加料金なしでもう少し仕事してくれないかな?的なことをスナック感覚で頼まれたりして。
断られること前提なので相手もあまり気にはしていない(と思いたい)ようなことでも、断る方は少し心に負荷がかかるんですよね。対価となるスキルをあまり持っていなかった若い頃は自分も深く考えずにそんな行動を取ったこともあったと思う。相手に利がないのに「ダメ元」で要望を通そうとするの、よくないなあ。

「頼まれる」場面が増えてきたからこその気づき、自分も随分歳を取ったものだと

なかなか暖まらない指先を湯呑みで温めながらじんわりと思うのでした。

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